冬の船 13






火星から帰って板橋駅を出る

懐かしさなどない
食べ物が不味い
そのような街として
記憶していた。

楽譜のように低いところに
そのような街として
置いてあった。

それより深い場所

ウゾオの

寄りつけない場所

長い通路の端の六畳の部屋の
ドアに佇むコントラバスは
蝶ネクタイして
ワルツを踊る
冬のワルツを踊る