トンネルをくぐるのは好きだ。短いトンネルで構わない。沖縄のこととて、冬だろうが夏だろうが季節は選ばない。冬を逃れて春へと続くトンネルを探していたのではない。ただ歩いてトンネルをくぐるのが好きだったのだ
冬のことだった
僕は寂しがりではないのだが、ときをりいたたまれなくなって、朝まで街をさまようことがあった
世界が狭く感じられ、新鮮な思考を持つ人がどこにもいないように感じられ、新しい風が来るのを待てず、新しい風を探して町中をさまよっていた時期があったのだ
新しい風だと思った
ブルーの新しい風だった
長い真っ直ぐな髪を波打たせてユターシャは歩いていた
深夜といっていい時間に若い美しい女性がひとりで歩いているのに危なっかしい感じがしなかったのはなぜだったのだろうか
今思う
ふたりが出会ったあのよる
世界にはユターシャと僕のふたりだけが存在していたのだ
だからユターシャには危なっかしさが存在していなかったのだ